2010年12月9日木曜日

<夢のカケラ>私にとって本は“窓”~ARC代表堀内佳美さん~

こんにちわ。村上です。

先日11月24日に、以前ブログにてご紹介した
「ARCどこでも本読み隊(代表堀内佳美さん)」の活動報告会がありました。

今回は、報告会を通じて、堀内さんへのインタビューをご紹介致します。


○私にとって、“本は窓”
「みなさんにとって、本はどのような存在ですか?それを考えながら聞いてください。」
そんな問いかけから、報告会は始まりました。

村上「どうしてARCを始めようと思ったんですか?」

私の国際体験のはじまりは、高校3年生の時の留学です。
その時の留学先はアメリカ。高知の田舎で育った私には将来の仕事は針灸あんまだったかもしれません。
いろいろな人に会ってみたい、いろいろな話をしてみたい、と東京の高校に上京。当時の私には東京も外国のようなものでした(笑)。
実際に高校の先輩方にふれ、盲人が大学に行けるの?盲人が留学!?とカルチャーショックを受けました。先輩も留学した!私もいける!と本当にアメリカに。本で読むアメリカに自由とフレンドリーな国をイメージしていました。

そしてまたカルチャーショック。移民をはじめとした多様な背景をもった人々がいて、イメージとは違うアメリカ人の多面性をもみました。
その時に親友となったタイの女の子はとても明るくて世話好き。彼女の可愛くてやわらかなタイ語と人柄、料理、文化を教えてもらいながら、どんどんタイに惹かれていきました。

タイの歴史やタイ語を勉強し、大学一年生の時に、初めてタイを訪れました。
大学のプログラムの一環としてタイの教会づくりをお手伝いしました。
その時は、ご飯もおいしく薄着でも過ごせる、そんなタイの良さを満喫しました。


でも、大学2年生の時にタイに留学した時、タイの現実を目の当たりにしたの。
識字率は高いけど、なぜか読書量が少ない。地下鉄やデパートなど、都心部は発展しているが、一歩都市から離れるとでこぼこ道が続き、学校にも通えない子どもたちがたくさんいる・・・

生まれた環境によって、その人の人生や世界がこんなに違うなんて・・。
そんな思いを持ちながら、私に何かできないだろうか、と真剣に考えるようになりました。

そんな思いを抱きながら、日本で民間企業に就業。しかし思いは募るばかりで、いろいろなアクションをおこしました。
その中で、ドイツ人の友人・サブリエに再開し思いを話し合う機会があったの。
そして、サブリエがインドで開校する社会起業家を目指すプログラムのIISEを受験。必死に勉強して合格できました。

そこでの1年間の学びの中で「ARC」の構想がかたまっていきました。

そして「ARCどこでも本読み隊」が始まったのです。


私にとって、“本は窓”です。
本を読むことで、いろんな世界をしるきっかけ(スイッチ)になる。
ARCでは、そんなスイッチとしての役割を果たしていきたい。


タイの本や読書事情には、次のような課題があります。
��.本の値段が高い。
��.図書館の数が少ない、図書館が有料。
��.本をさす言葉と勉強をさす言葉が同じ。本=勉強(教科書)、エンターテインメントとして楽しむ環境にない。

都市から離れたところに住む子どもたちや
障がいをもった子どもたちは、本(窓)に接することすらなかなかできない。
本には足がない、田舎の子どもたちにも本への足は与えられていない。
だから、ARCが私たちが足となって届けよう!そして、私たちが届けた本や私たちが窓となって、その窓から子どもたちがもう少し楽しいことや世界を知り、夢を持ってもらえたら・・そしたらどんなに嬉しいことか!
みんなスイッチを持って生まれてきている。ONしたい、笑顔が見たい。世界を広げるスイッチを!

ARCの1stステップ・ミッションとして次のことを目指しています。
��.本・読書や学びは楽しいものということを伝える。
��.みんながみんなの手で本をとれる環境を作る。
��.本を通じて、心のギャップを埋める。隔絶した世界を一つにする。

村上「ARCは、ミニ移動図書館という形でみんなに本を届けて、その本を通じて世界を見る窓(スイッチ)作りをする。そんなスイッチを入れる取り組みを目指しているんですね。」


○目が見えない中での工夫
村上「私も視覚障がい当事者として、気になることが一つあります。ズバリ見えないが故の苦労やそれを補うための工夫はあるのでしょうか?」

もちろん見えないが故にできないことはあります。
たとえば、本やファイルの整理。背表紙に何が書いてあるか読めないから、誰かの力を借りることになる。
また移動図書館で村を訪れても、点字が印刷されていない本は、私は読むことができない。

またタイで暮らしていてショックだったことは、銀行口座を作れなかったこと。
タイでは、契約者と契約書にサインする人が同一人物じゃないといけないから、サインができない視覚障がい者は銀行口座を作れないの。


意識して工夫していることは、情報収集。
特に、現地の人の会話から得ること。タイでは、人々の会話や噂などの情報がとても重要になる。積極的に自分から話しかけて、会話の中から情報を得るようにしているわ。

少し話は変わるけど、私はこのARCを通じて、「GIVE AND TAKE」の関係の大切さを伝えていきたいと思っている。
たとえば、障がい者はサービスを受ける人で、与える人ではないとか、片方の考えや立場だけの関係にしたくない。障がい者であっても与えることはできる。
何かしてもらうだけではなく、私も何かをする。そういう気持ちでいるし、それを伝えていきたい。


○ARCを世界に広げたい
村上「最後に、堀内さんが描く“夢”についてもう少し話を聞かせてください」

まずは本を通じてタイを一つにしていきたい。タイは、とても愛国心が強い国なのに、都市と農村、山間民族と都市市民、障害者と健常者といったような、民族や地域、特性によって別の世界の人のようになっている。
本や読み聞かせという‘世界への窓’をスイッチとして、本当の微笑みの国タイを見ることが今の一番の夢。

だから、私やARCだけが取組んで成したいということではなく、是非真似してくれる活動が現れて欲しいし、ARCを超えてもっともっと活動を盛んにしてくれることもウェルカム!

実際に子どもたちが夢を持ってキラキラ笑っていて、大人たちも笑っていて、皆が一緒に遊び、学び、語り、笑っている社会ができるのなら、それがARCでなくともいい。

そして、そんな取り組みが、タイだけではなく他の東南アジアやアフリカ、南アメリカ・・と世界に伝わればいいと思う。
目の前にはファンドレイジングや事務所の問題など資金的な課題は山積みだけど、ARCの活動を世界に広められるように頑張っていきたい。100年かかっても、200年かかってもね。

村上「励まされる話の数々。どうもありがとうございました。」


実はインタビューの後、堀内さんが私たち“viwa”にメッセージをくれました。
「ARCもそうだけど、始めることよりも継続する方が大変。継続していけるように頑張ってね」
堀内さんの言葉の節々に、夢に向かって頑張る力強さだけではなく、優しさを感じました。

これからも応援していきたいと思います!!



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