2015年12月6日日曜日

【ご報告】第16回日本ロービジョン学会学術総会参加&発表報告

皆様


こんにちは。viwaの奈良里紗です。11月21日~22日の2日間に東京の一ツ橋講堂にて、第16回日本ロービジョン学会学術総会が開催されました。

viwaでは、21日に「ピアカウンセリングに関する事例研究」という題目で研究発表をしてきました。東京での開催ということもあり、久しぶりにviwaスタッフ6名が集まり、ポスター発表をすることができました。

私たちがまとめた研究の内容を簡単にご紹介します。


みなさんはピアカウンセリングという言葉を聞いたことはありますか?
同じ境遇の人同士がカウンセリングをすることを言います。

いわゆるカウンセラーという立場ではなく、あくまで、ピア(同じ境遇)という立場でカウンセリングをします。viwaの活動の一つとして、様々な方からご相談を受けることがあります。
今年2月にロービジョン者であるA子さんから、ある相談がviwaに持ち込まれました。
A子さんは周囲に同じ境遇、つまり、ロービジョンの方がいない中、地域でロービジョンは自分だけという状況で育ってきました。小学校から高校まで特別な支援を受けた経験もありません。

また、地方都市に住んでいるA子さんは病院や盲学校からの支援や情報提供を受けていないことから、日常生活にも困難を抱えているような状況でした。
そこで、A子さんに対してviwaスタッフがピアカウンセリングを実施することになりました。A子さんにはスタッフに聞いてみたいことを書きだしてもらい、それをもとにお話しを進めていく形をとりました。全部で10回のピアカウンセリングのセッションを行い、10回とも異なるロービジョン者が相談に応じました。つまり、10名のロービジョン者がピアカウンセリングを実施したことになります。

それぞれ育った環境や見え方、職業の違うロービジョン者から話を聞くことでA子さんにとってはとてもよい機会になったようです。10回目のピアカウンセリングを行った時、A子さんにある変化がみられました。それはこれまで相談する側だったA子さんが、過去のピアカウンセリングで得た情報をもとに助言側へとまわる場面がありました。

このことに私たちは着目しました。ピアカウンセリングの目指すところとして、同じ悩みをもつ人の存在を知り、悩みの共有がなされます。また、多様な生き方や人によって異なる独自の工夫についても知ることができます。最終的には、相談する側だったA子さんが誰かのピアカウンセラーとしてピアカウンセリングを行えるようになる!
このような循環を起こしていくことが必要なのではないかと考えています。ピアカウンセリングについては、まだまだ、現場での経験則で行われているところが多く、学術的にその重要性やノウハウの報告がなされていないのが現状です。ピアカウンセリングという性質上、ピアではない第三者が入っていきにくいということもあるのかもしれません。viwaでは今回のA子さんの事例について研究論文としてまとめることを目標に引き続き活動していきたいと思っています。

当日は2分30秒で研究の内容をプレゼンテーションするところからはじまりました。私たち視覚障がい者はプレゼンテーションが得意でもあり、苦手でもあります。というのは、プレゼンテーションは原稿を見ずに行うことが基本です。もともと原稿を見て話すということが難しいロービジョン者は原稿の内容を覚えるしかありません。点字使用者の場合はここの事情が異なります。手元で点字を読みながら前をまっすぐ向いて、あたかも原稿を一切見ていないようにプレゼンテーションをすることができます。

私はそんなことできないので、直前まで発表内容を練習しました。また、緊張してスライド送りを忘れてしまったり、スライド送りをしてもちゃんと話している内容とスライドが一致しているか確認しながら進めることができないため、発表のときにはスライド送りとタイムキープのためにスタッフの優希にサポートに入ってもらいました。以下、発表しているときの様子です。


次にポスター発表です。私たちロービジョン者はポスターをまっすぐはるということが苦手です。
両目の視力の差が大きかったり、ほとんど片目しか使っていなかったりすると水平を見極めることが難しいのです。そこで、勉強にきていた学生さんに手伝いを依頼してポスターを掲示しました。

ポスターの発表時間には多くの眼科医、視能訓練士、その他ロービジョン関係者の皆様にお越しいただき、たくさんのご質問、ご指摘、応援メッセージをいただきました。

viwaスタッフ一同、学会でいただいたご意見をもとに今後も活動を充実させていきたいと改めて思った次第です。
地域にうもれてしまいやすいロービジョン者、その人たちの支援に携わっている専門家の皆様とお会いしてお話することができて私たちもとても勉強になりました。

viwa 奈良里紗


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