2020年7月4日土曜日

ワシントン州立盲学校におけるオンライン授業について

皆様


こんにちは。viwaの奈良里紗です。

5月1日に開催いたしましたウェビナー視覚技塾の中で、
「アメリカの盲学校でのオンライン授業の状況」についてご質問をいただきました。
その場では、すぐに状況がわかりませんでしたので、後日、パネリストの田中恵さんが、ワシントン州立盲学校の先生に連絡をしてくださいました。

下記、URLより、ウェビナーの動画を見ることができます
http://www.viwa.jp/2020/05/blog-post_12.html

実は、この盲学校は、昨年、田中恵さんと一緒に、viwaスタッフで英語が堪能な佐藤由希恵さんと私とで訪問したことがある学校でした。
その時に、説明してくださった先生宛に、田中恵さんがメールを書いて、英語で返信された内容を佐藤由希恵さんが日本語へ翻訳してくださった内容に基づき、奈良が記事を編集しました。
我が国においても、いくつかの盲学校はオンライン授業に取り組んでいらっしゃいましたね!

こうして、世界中の視覚障害児の教育が保証されて、よりよいものになっていくと良いなと願っています。
視覚技塾に参加し、質問してくださった盲学校の先生にも、改めて感謝申し上げます。
さて、前置きが長くなりました。
下記、ワシントン州立盲学校の先生からの情報提供になります。

【質問1】
新型コロナウィルスの感染拡大により、学校も休校になっていると思いますが、ワシントン州立盲学校では、全ての授業をオンラインへと切り替えて実施していますか?
【回答】
はい。
zoomを使ってオンライン授業を行っています。
生徒は、google classroomというアプリを使って、教材や課題をダウンロードできます。
また、全ての生徒に対して、数学や理科の授業で出された課題をこなすために必要な拡大資料、点字資料等をメールで配信しています。
授業時間を変更しながら、週に4~5日の授業を実施しています。
この盲学校は、中学・高校のみの設置です。中学生に対しては、英語と数学の授業を受けています。高校段階では、これに加えて、理科も行っています。社会科については、英語の授業に含める形で実施しています。
体育も週4回実施しています。
個別対応が必要な授業もすべてオンラインで行っています。
例えば、生徒の習熟度に応じた数学の授業、英語、国語、点字、歩行訓練、日常生活動作等です。


【質問2】
ワシントン州で、最初に外出禁止令がでたとき、盲学校ではどのような対応をされたのでしょうか?
【回答】
生徒は3週間の課題に応じた学びの時間(Project Based Learining)と心理面と社会性に配慮した学びの時間(Social Emotional  Learning)の指導を受けました。
同時に、基礎的な科目の指導やZoomを使った指導も行いました。
この3週間に行った授業については、成績評価の対象外でした。
この最初の3週間については、私たち教員も生徒もzoomの使い方を学ぶ良い機会となりました。
全ての生徒がzoomを使ったオンライン授業を受講できるようにするために、2つの環境整備を行いました。
1つは、1人あたり1台のデバイスが利用できるように配慮しました。
2つ目は、Wi-Fi環境がない生徒もいますので、こういった生徒がアクセスできるWi-Fiを提供しました。
なかには、電話で接続を希望する生徒もいましたので、こういったニーズにも対応しました。

【質問3】
小学校段階の子どももオンライン授業を受けることはできるのでしょうか?
【回答】
ワシントン州立盲学校は、中学・高校段階の生徒が在籍しているため、小学校段階のことについてはわかりません。
本校の生徒については、全員、iPadやノートパソコン、ブレイルメモといったデバイスを普段から活用していますので、オンライン授業にも問題なく対応できました。

【質問4】
視覚障害教育においては、手で触って学習することが重要とされています。オンライン授業では、直接何かに触りながら学習させるということが難しいように思うのですが、どのようにされているのでしょうか?
【回答】
1週間に1回、郵送で触覚教材等、生徒が学習に必要な教材を送っています。その効果も少しずつでてきています。

【質問5】
視覚障がいのある生徒のご家庭で、自宅でWi-Fiやインターネットに接続できない方はいらっしゃいますか?もしそうであれば、どのような方法がありますか?
【回答】
zoomは固定電話からもアクセスできますし、盲学校からアクセスできるWi-Fiを提供しています。

【質問6】
オンラインで行われている授業は、授業単位として認められていますか?
【回答】
はい。全ての授業が単位として認められています。

【質問7】
教員も自宅で仕事をしていますか?
【回答】
はい。
全ての教員が自宅でオンライン授業を行っています。
教員の中にも、Wi-Fi環境がない者もいましたので、この点の環境整備も学校が行いました。
ただ、週に1回、生徒に教材を郵送するために、学校に出勤することはあります。
このときは、ソーシャルディスタンスを守っています。
以上です。

生徒だけではなく、教員に対しても、アクセスできるWi-Fi環境を整備したということで、素晴らしいですね。
また、歩行指導はどうやってオンラインでやっているのだろう?という新たな疑問もわいてきました。
アメリカですでに行われているオンライン授業のアイディアを日本でも共有していけたらと思っています。
追加でこんなことを知りたい!等ありましたら、ぜひ、メールをいただけたらと思います。
メールの送付先は、info@viwa.jpです。

key word アメリカ 盲学校 オンライン授業 視覚障害 教育

viwa 奈良里紗

0 件のコメント:

コメントを投稿