2020年10月25日日曜日

私(ハチ)の障がい受容~大学生編~

皆さま


 スタッフのハチです。

前回の小学生編に続き、今回は高校生編をお届けします。

小学生編(前編)はこちら↓

https://www.viwa.jp/2020/09/blog-post_26.html

小学生編(後編)はこちら↓

https://www.viwa.jp/2020/10/blog-post_4.html

中学校編

https://www.viwa.jp/2020/10/blog-post_18.html

高校生編

https://www.viwa.jp/2020/10/blog-post_25.html



〇大学生編

 なぜ、私が現在通っている大学を選んだかというと、在籍している障がい学生の数が多く、福祉を学ぶ環境としてふさわしいと思ったからです。ちなみに、私が入学した年は、視覚障がいの学生が例年よりも多く入学した年でした。その年の障がい学生は110人以上在籍しており、その中の8人が視覚障がいを持っている学生でした。実際に入学してからは、視覚障がい以外の障がいがある学生と交流する機会もでき、障がいによって異なる特性や困難な事、抱えている悩みなどをより一層知ることができるようになりました。また、ある視覚障がい学生から今までの経験の中で感じてきたことなどを聞いたときに、障がいがある状態を納得する過程では、人によって様々な苦労があり、障がいと向き合っていくことは簡単な事ではないのだと改めて強く思いました。そして、様々な障がいについての理解を深めるにあたり、1人ひとりが障がいを受け止めていく中で、もどかしさを感じたり、苦労したりしている状況を少しでも改善できるよう、一緒に考えていきたいと思うようにもなりました。そして現在の私は、学内での支援活動や福祉実践教室への参加、プログラムの開発準備など、当事者としての視点や考えを活かした活動を行っています。このような活動をしていくことも、私が障がい受容をしていく上では大きな影響がある、と実際に取り組んでいて感じています。これまでの人生では、障がいというものを私は主観的にしか見ていませんでした。しかし、様々な活動を行うことで、私自身は多くのことを学び、障がいを客観的に見つめ直すことができるようになってきていると思うのです。

 最初に申し上げた通り、年齢を積み重ねていく中でも、障がいに対して歳相応の課題が出てくると私は思います。自分自身も20歳になったことで障害年金の申請をしてみたり、法改正に伴う障害等級の変更があったりと、大学生になった今でも障がいと向き合う場面があります。しかし、これからの人生において、障がい受容をスムーズに行えるとは限りませんし、これからも自分の障がいについては考え続けなければいけないことであると感じています。

 大学生活でも障がいが関係したことで悩んだことはありました。それは、アルバイトの応募についてです。大学入学当初、私はアルバイトをするために様々なところに応募をしましたが、学外では様々な所で障がいを理由に断られてしまいました。そして、結果的に現在は学内でのアルバイトをしたり、Web制作など自分の特技を活かして仕事をしたりする形となっています。学外でアルバイトをできないことに関しては、しばらくの間悩んでいましたが、その過程で1つ気づいたことがあります。それは、私たちもしっかりと自己分析をし、自分ができることは何なのかを相手へ的確に伝えることができるようにしていかなければならないということです。確かに、雇う側の目線として、何かあったときに責任を負うことができないという問題があるのかもしれません。ですが、自分のできること、お願いしたいことを分かりやすく伝えて、相手の状況に合わせて柔軟に対応をすれば、建設的に対話を進めながらよりよい環境を生み出していけるような気がします。このことからも分かるように、障がいについて悩むということは、新たな発見をすることができるチャンスといえるのではないでしょうか。

 障がいを受容していく過程では悩むこと、不安になることもありますが、乗り越えた後の達成感はとても心地よいものだと感じます。そして、今改めて思うことは、自分が置かれている状況によって、葛藤や悩み、不安が新たに生じるという点は、何歳になっても同じなのだなと思います。これからの人生において、時には自分がしたいことが上手くできなかったり、思うようにいかなかったりすることもあるかもしれません。しかし、そんな時に全て環境や他人のせいにするのではなく、どのように工夫をしていけば状況を良い方向へと変えることができるのかを考える必要がある、と日頃の生活の中で、私は実感しています。


〇おわりに

 障がい受容ができていないと社会で暮らしていく上では大変苦労すると思いますが、受容は無理にするものではないとも私は感じます。もちろん、1人ひとりの生活環境や障がいの状況は違いますので、個々に合った方法や度合いで障がい受容をしていけば良いと思います。しかし、避けなければならないことがあります。それは、本人が受容できるようになった時に誰にも頼ることができず、受容することさえも辛い状況になることだと思います。人は1人では生きていけないと感じますし、実際に私も多くの人に支えられて生きています。それは障がい受容をする上でも同じである、と私は考えます。先天性の場合には、保護者の方がどのように接するのかによって、障がいの受容のしやすさが変わってくると思いますし、中途障がいの場合にも、自立できる能力を習得するまで、寄り添ってくれる人の存在が必要となってくると感じます。私も障がい受容をするときは不安になる事があります。受容したくても自分で何をすれば良いのか、すぐには分からないこともあります。しかし、そんな時に見守りながら話を聞いてくれたり、私の声に耳を傾けて手を差し伸べてくれたりする家族がいてくれたからこそ、これまで障がいを受容できるようになったのだと思います。当事者とコミュニケーションをとることは、障がいについての理解を深めることができるだけでなく、障がいの受容について考えながら接することも可能になるのではないでしょうか。

 さて、今回私は自分の経験や考えを基にして、お話を展開してきました。今回、このような貴重な機会をいただけたことにより、私は障がい者として、1人の人として、自分自身と再度向き合うことができました。私の今までを振り返ってみると、多くの人に支えられ、自分の障がい受容の度合いや程度に合った支援と挑戦する機会を与えてもらったことで、自信が持てるようになり、障がいを持っていることを否定的に捉えることはなくなったように感じます。そして、障がいを受け止めること、納得することに明確な正解はない、と私は思います。また、障がいの受容の在り方も人によって違うと思うのです。今の私にとって障がいとは、自分自身そのものです。障がいがあっても私は私であり、1人の人間であることには変わりない、と今になって思います。もし、昔の私に会えるとしたら、障がいを持っていても、そうでなかったとしても私はこの世に1人しかいないのだから、自信を持って自分らしく生きてほしい、と伝えたいです。当事者自身があらゆる挑戦をすること、自分について積極的に発信していくことは、障がいについて周囲に知ってもらうということだけでなく、障がい当事者が自分自身、自分の障がいと見つめることができる良い機会ともなると考えています。このような場を今回作ってくださった多くの方々や読んでくださっている皆様のおかげで、私はさらに成長することができました。当事者が自分のことを考えるということは、これからに向けた大きな一歩を踏み出すことにつながると私は感じます。今後も自分らしさを大切にしながら生きていきたいです。お付き合いいただき、ありがとうございました。




Viwaスタッフ

ハチ

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